寝台特急カシオペア「さよなら」乗車記


第3章「車内での忘れえぬ記憶」

シャワーを出て車内探索を行った。
ロビーカーに行くと大勢の人がそこでくつろいでいた。



だが展望窓には雪がこびりついており、また陽が沈んでしまった今となっては車窓風景を楽しむことはできない。
混雑も相まって早々にそこを去り、少し早いけどパブタイムの順番待ちに並ぶことにした。
今回は当然ディナー券などなかったのでパブタイムを利用することになるのだが、
実は昨年の北斗星のラスト乗車の時、車内の水回りの故障で、パブタイムに参加できないという悲しい過去があったのだ。
おそらく寝台列車で味わえる最後のディナーとなる今晩、食いそびれることだけは絶対に許されなかった。
それもあっての2時間近く前からの順番待ちでした。アテンダントさん達も心なしかそんな我々に苦笑いだったような・・・。

パブタイム待ちをしている間に列車は函館駅に着いた。
函館駅と言えば機関車の付け替え作業がイベントの一つ。
それまでは朝の函館でDD51がつけられ、ED79が外される場面を見てきたが、今回は上りなのでその逆。
友人に順番待ちを託し、私はDD51が外されるシーンを見学に行かせてもらった。



このような貴重なシーンももうすぐ見納め。そうなったら青いDD51はどうなるのだろう。
漠然とした不安や寂しさが拭えなかったのでした。



青函トンネルを通る頃、ようやくパブタイムにありつけた。



最後だからもちろん大人買い、ならぬ大人食い。いろいろ注文して、少しでも長くこの至福の時間を味わおうとした。



料理も、そしてダイニングカーの雰囲気もまた、忘れがたい最高の記憶となったのは言うまでもありません。

食事を終え、ふと立ち寄ったロビーカーで見たED79の雄姿。
結果として、これが私が最後に見たED79の姿となったのでした・・・。



そして青函寝台車で眠る最後の夜。
E26系客車は揺れも少なく、枕が変わると寝付けない私も快眠することができました。



この晩の記憶の一つ一つを大切に胸に刻みながら、安らかな眠りについたのです。


第4章「さようならカシオペア」へ続く...