寝台特急カシオペア「さよなら」乗車記


第2章「たどり着いた瞬間」

紆余曲折を経てカシオペアに乗車することが決まった私と友人は、年が明けた1月の雪で埋もれた札幌で合流した。
この頃には転売屋に負けた蟠りは薄れ、ただただ乗車する時が楽しみだった。
札幌駅でこの電光掲示板を見た瞬間に、そういったある種の無念さは霧が晴れるように消え去ったのである。



友人にシャワー券の確保を任せ、私はカシオペアが入線してくる瞬間を撮影すべく、ホーム端へと向かう。
やがて大きな警笛を鳴らして銀色の夢列車がホームへと入線してきた!



いつだってこの瞬間に興奮は頂点に達する。それまで撮り鉄でカシオペアの撮影は何度もしていたが、
目の前至近距離でマジマジとE26系客車を見るのは初めてだった。
神々しく光るメタリックシルバーの車体。憧れ続けた寝台特急に乗る時がついに来たのだ。




我々が乗り込んだのは8号車。2階の21番個室でした。



オール個室のカシオペアはそのほとんどがツインルームで構成されており、
いわば一番スタンダードな部屋だが、それでも豪華さは歴然。
寝台列車は北斗星やサンライズエクスプレスに乗車経験があるが、カシオペアの部屋こそが至高でしたね。
部屋の中にはトイレもついており、他の客を気にすることなく利用できる。



トイレの脇に着いているモニターはGPS機能があって今どこを走行しているかわかるようになっている。
FM放送やBSなども受信できる。



乗車の興奮が落ち着いてきた頃、ウェルカムドリンクとしてオレンジジュースの差し入れがアテンダントさんからあり、
また乗車記念グッズの販売ワゴンも順番に回ってきた。もちろんグッズを大人買いしましたよ(笑)



そうこうしているうちにシャワーの時間になったので浴びに行った。
カシオペアのシャワーもまた北斗星らと同様、シャワーカードを入れると6分間だけお湯が出るというもの。
そういえば北斗星のような終了間際のけたたましいブザーはなかったな。



興奮でかいた汗をサッパリと流すころには、すっかり北の大地には夜の帳が落ちていた。
早くも道内から出る瞬間が近づいていたのである・・・。



第3章「車内での忘れえぬ記憶」へ続く...